慈恵医大の入院生活③
1週間の入院であったが、入院当日と、退院前日しかシャワーを浴びることはできなかった。腎生検というやつはとにかくじっとしていなくてはならないことは事前にわかっていた。シャワーも無理という話も、外来できいていた。なので「ひたすらベッドでじっとしているんだろうな」と思った私は、入院時の荷物に、旅行用のキャリーバックと、貴重品や書類ファイルをいれるバッグの2つに、以下のものを詰めていった。
※一般的な入院グッズ以外に用意したものです。
・ペットボトルの水・お茶(デカフェのお茶):12本
・無印のネクタイハンガー×2個 ★
・S字フック4つくらい
・赤ちゃんのおしりふき(無印の)
・ドライシャンプーのスプレー
・制汗スプレー
・伸び縮みする孫の手
・歯間ブラシ
・マスク(予備も)
水・お茶は普段自宅で、ケース買いで定期配達を頼んでいるものがあったし、腎生検後あんまりうろうろできなさそうと思ったので、家のストック品を持っていけばいいじゃない、ということで。一週間12本は2,3本多かったかなくらい。
そして一番便利だったのが、無印のネクタイハンガーです。
私はもともと、親や友人の入院にはS字フックを差し入れするほど、フックが大事と思っていましたが、このアルミハンガーがあればS字フック不要です。
むしろS字フックよりずっと安定感抜群だし、ほんっとうに役に立ちました!
やってくる看護師さんたちにも「なにこれ、めっちゃよさそう」とのお声をいただき。
無印のこのハンガー、入院準備であれこれ買い出しに、大きめの無印に行ったときにみつけて、「あ、これはサイズ的に便利そう」と思って購入。
すると、家の中の玄関先やクローゼットの中の、カバンやコート掛け、台所周りのなんかひっかけたいところ…などにも本っとちょうどいいの。なので入院用に買ってきた分が自宅で大活躍の予感をみせたので、慌てて何個か買い足しました。ひとつ350円と、似たようなよその商品よりも無印は価格も圧倒的勝利です。
入院中の限られたスペースは空間を使うことが大事。キャリーバッグもベッドサイドに置く余裕がありましたし、慈恵医大のベッド回りは結構収納が充実していました。
※私が入院したのは差額ベッド代なしの6人部屋でしたが、よほど大きものでない限り、キャリーバッグも持ち込み問題なかったです。
しかし、動きが制御されたので、このハンガーにカバンやらタオルやらひっかけるのに大変重宝しました。このハンガーは力いっぱいお勧めします。
慈恵医大の入院生活②
御成門の慈恵医大は、道路を挟んで建物が4ブロックくらいに分かれた巨大な病院施設であり、2020年1月に、華々しく新しい外来棟がオープンするも即コロナと、なかなかになかなかなアレであったそうな。
なじみのある昔の外来棟は、PCR検査棟兼一部の検査・手術設備のみに使用となって出入り口がわかれているので、逆にありがたいつくり。
入院が決まると、その直前に、この旧外来棟にやってきて、PCR検査(鼻の奥を綿棒でぬぐう)と胸部CT(PCRが陰性であっても肺に感染の証が出ているかの有無を確認)というしっかりした検査をパスしないと予定通り入院とはならない。
この検査費用は無償なのか、後々の入院費用にCT代は乗っかっているのかな?そんな感じの説明であった。検査時に払うことはない。
受付窓口で私の横にならんだおじさま(中高年男性推定60代)は、受付の人に「問診表と受付票をお出しください」といわれるも、持ってきたファイルを全部渡して
「もらった書類ぜんぶはいってるから!」
と自分で必要書類を取り出すことをしない。
なんという甘えただよ、と眺めていると受付「あらございませんね、こういう…用紙、ご覧になってないでしょうか?」と大変低姿勢でたずねるとおっさん(おじさまから格下げ)
「…?あ、あー、なんかみたな…」
とトーンダウン。
受付の人「ではこちらであらためて記入くださいね」と明るくにこやかに。
いやあ、こんな、事前説明通り書類を用意するという唯一やらねばならない簡単なこともできないおっさんにそこまで優しくできるとは、仕事って大変。尊敬、病院事務。
とはいえ病院からもらう書類はやまほどある。私も最初はクリアファイルに挟み込んでいたり封筒に全部いれていたりしたが、それだとどこに何があるのかわからなくなるので、以下のタイプのクリアファイルを購入して、めくれば一目瞭然なようにまとめていった。これが大変便利だった。
[http://:title]
手続きに必要な書類だけではなく、本通院にかかる領収書などもここにまとめておけば、医療費に関する申請時などにもわかりやすい。
入院中も同意書や、スケジュール表など書類が色々と増えるので、一目瞭然のファイリングができる、ノート型のものをつよくおすすめ。
慈恵医大の入院生活①
入院期間は一週間。
月曜日入院→火曜日腎生検→水曜日~金曜日安静→土曜日退院
慈恵医大の腎生検は毎週、火曜か木曜なので、木曜検査なら、水曜入院で一週間となる。
検査前に調べても、検査時にサインする同意書にも怖いことはたくさん書いてある。
例えば同意書には
「検査の結果なんかすごい出血したりして、もし腎臓ごと摘出するようなことになっても免責のうえ、その手術・入院費用は患者負担」
なんてことも書いてある。サインせねばもちろん検査はできない。
検査対象の臓器にうっかりトドメをさしちゃうかも、なんて、なんという検査だと思ったが、リスクが高いのは
・高齢者
・病状がすでに悪化しており、腎臓が変形していたり縮んでいたりする場合
・針が届かないくらい太っている場合
なんだそう。
私はBMI値が35オーバーくらいの肥満体型だったので、針、届くか…?が一番心配だったのだが、病院側は事前にMRIを撮って、その画像で腎臓のかたちや脂肪の厚さを測りいけるか?と確認したうえで腎生検を提案しているので問題ないとのことだった。
実際に検査のとき、うつ伏せの私におかまいなく
「あれ、思ったより近いですね!」「近いね思ったより」と医師たちが口々に会話していた。事前に脂肪の厚さに関しての申し送りがあったのだろう…。
結果として全く問題なく検査はおこなわれたので、普通の肥満(MRIとかCTとか撮れるレベルのひと)は心配しなくてよさそう。
慈恵医大の入院で地味にわかりにくかったのは、全体の流れを誰も説明してくれないこと。私の場合、
主治医(桃太郎みたい)
担当医(イヌ)
研修医(キジ)
昼夜シフトの看護師たち(大体4人くらいがローテ。かわいいサルちゃんたち)
という、桃太郎ご一行がしっくりくるチームによって面倒みられたのだが、
「血とりまーす」とか「管いれまーす」とかくるんだけど、それは何のためにとか、いつまでそれをやるのかとかそういう、入院期間に必要な諸検査等の全体の詳細スケジュールと、それぞれの目的などのストーリーは、ついに説明されなかった。
そのくせ毎日夕方に「どうですかー?」と桃太郎一行が来るわ、桃太郎たちからの申し送り不備がみえる看護師たちが「アレ?先生そのまんまでいっちゃいました・・・?(私の腕の管をみて)」とか「アレいわれませんでした?」とか「アレ?」ていう台詞をしょっちゅう聞きましたので、結構終盤、桃太郎(主治医)に、私がちょっときつい言い方して「ちゃんと流れを説明しなさい」といっちゃいましたね…。
悪い人たちじゃないんだけど、ボンボン。そんな印象。
医師からのジンセイケンのすすめ
慈恵医大の婦人科の医師はどいつもこいつも患者ファースト感が一切感じられなかったが、腎臓・高血圧内科の医師は親切・丁寧であった。
A4用紙4枚にもわたる、細かい尿検査結果を、一つ一つ、どの項目がどういうものかを説明してくれた。
そしてたとえば「血尿(尿潜血)」という結果ひとつにとっても、膀胱、尿道、腎臓と、可能性のある出血箇所がバラバラであること、それを特定するには、ととある項目を示し、それが何を意味するものかを解説しながら「つまりあなたの場合は、腎臓からの血が尿に漏れている」と、まあそのように説明してくれた。
さらに、この辺の数値が異常だと、甲状腺系に問題が疑われる、この辺の数値が異常だとガンが、この辺の数値が高いと糖尿病が…と、A4用紙4枚分きっちり説明してくれた結果
「つまり、大きな病気を疑うような結果ではないものの、尿潜血の値とその成分、そして尿蛋白の値、さらに持参していただいた過去の人間ドックの検査結果と前回(初診)・今回(初診から一か月後の再診)の尿検査の結果から、腎臓に何らかの問題が隠れている可能性が高いが、原因が絞り込めないため、あなたの場合は腎生検を受けた方がいいと思います」
とそういう結論を丁寧にはなしてくれた。
医師にそういわれれば、私には迷うことはない。
「ただし、腎生検にはこんなリスクが」
「そして一週間入院、その後1か月ほどおとなしくしないといけない」
という、検査そのものよりも、その後の行動制限がシビアであることを話してくれ、私は仕事との日程調整をすすめ、実に前向きに腎生検に臨んだ。
腎生検を医師にすすめられたなら、断る理由は一切ないと考えている。
それは腎生検を受けて、Iga腎症と判明したいまもそう確信している。仕事の調整は日ごろの自分の働きぶり次第でいくらでもどうとでもなるもので、こと仕事に関して「自分がいないとだめ」というような現場にしてはいけないのだ。
私は着々と手順書・マニュアルの作成・充実をすすめ、さらに若い社員にガンガン仕事をふり、自分が抜ける日々の準備をすすめていった。
私が検査の入院をした際、数日遅れで同室に、40代で二人の低年齢のお子さんを持つ女性が同じく腎生検のために入院してきた。ベッドで仕事のノートパソコンを持ち込み仕事をしつつ子供と離れて、私よりもずっと大変そうな状況を調整して検査に臨んでいた。
腎生検を迷っている人は、迷うべきではない。この検査をおこなわないことで将来失うものは特大級。なので、医師にすすめられた時点で、即すべてに優先して検査を受けることが、結果として家庭や仕事や人生を優先することになる。
病院へ足がむいたきっかけは
その年は、コロナもあって会社の健康診断の1日予約上限人数が絞られたことから、会社加入の健保での人間ドック予約が混雑しており、私がその年の検診で取れた日程が、翌年、つまり年明けになってしまった。
結果が届いたのは確か1月末。検診後2週間ほどで届いたと思う。
中には去年より少々よくない数字(でも肥満以外はまあ問題なし)と、紹介状が2通はいっていた。
2通なんてきいてない。
1通は婦人科のもので、一度、MRIがある大き目のところで検診をと、紹介状だしますよという会話を人間ドックの際にしていたので、あらかじめわかっていたものだった。
もう一通が腎臓内科あて。これが「おや?」と予想していなかったものだった。
私が素直にこの2通の紹介状をもって、御成門の慈恵医大病院を選んだのは、立地の良さが第一、第二に前に整形外科でかかったことがあったから、という他愛ない理由。
結果としてよい選択だったと今も思っている。
女性にはあるあるだが、尿検査は引っかかりやすい。生理のときはもちろん、生理前後の排卵に絡むおりもの増などで、血が混じることもあるし、人間ドック予約時に充分日程を調整しているにもかかわらず、ホルモンの波はそのときどきでうねるものであり、なかなかうまくいかないことが多々あるからだ。
私はその年の前年にも、人間ドックの結果とともに、腎臓内科への紹介状が届いていたことを思い出した。しかしその時は、生理が終わったタイミングぎりぎりであったので、あまり深く考えずに結局、病院へ行かずじまいだった。
しかし2年連続またひっかかり、人間ドック検診センターへの再検査ではなく、紹介状である。私は婦人科の検診のほうでは、前々から自覚していた持病の状況を、今度こそ大きいところで検査しようと行く気満々であったので、「そのついでに」「しかたないから真面目に」「ちょっと腎臓内科とやらにもいってみるか」「慈恵医大には科もそろっているし」
という、まあ、あんまり深く考えていなかった。
しかしこれが結果として大当たりであった。
腎臓内科あての紹介状は、慈恵医大病院では「腎臓・高血圧内科」という科目にあたり、ここは糖尿病治療にも密接でまあ、大繁盛、いついっても中高年男性で待ち合いブースがあふれかえっている。
私はここで血液検査と尿検査(非常に精密なもの)を受けて、腎生検をすすめられた。
そのときまで、もちろん私は、「ジンセイケン」なるものの存在など知らなかった。